浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

環境保護からみた19世紀末の鉱山ストライキ――Jacobin紙より

 2022年1月25日、ドイツ語圏の左派系オンライン雑誌である『ジャコバン(Jacobin)』ウェブサイトに、「鉱山労働者が環境汚染に抗してストライキをするとき」と題した論説が掲載されました。

 

 

 リード文では、環境運動は1970年代にはじめて現れたのではない、と述べ、1888年のスペイン・アンダルシア州におけるイギリス資本が開発する銅鉱山で発生したストライキを紹介するものです。

 そして、環境保護が豊かな中間層の関心事であると半世紀近く言われてきたけれども、1980年代にすでに「貧者の環境保護」の概念がラマチャンドラ・グハらの研究者によって提起されていると述べています。

 そこでは、次世代のための環境保護ではなく、抑圧され、差別された住民集団の、きわめて現実的で物質的な関心が焦点となります。たとえば水質汚染、土壌汚染、大気汚染、そして土地資源へのアクセスが挙げられています。そのうえで、グローバル・サウス論とつながっていると指摘されます。

 この論説を書いたミロ・プローブストさんの近著も紹介されています。『99%の環境保護のために――歴史的痕跡の探究』という意味です。