浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ベルリンの極右に関するメディア・アーカイブ=教育センターapabizについて

 apabiz(antifaschistisches pressarchiv und bildungszentrum berlin e.V.)というベルリンの反極右・反ネオナチ監視を目的としたメディア・アーカイブ=教育センターを知りました。そのホームページはこちらです。

 

 

 その自己紹介では、1945年以降のドイツの極右について監視・分析することが挙げられています。その作業の基本は、資料収集にあるとのことです。また、極右のイデオロギーの再強化に対峙するための知識を高めるための教育センターでもあると説明されています。

 ウェブサイトをみると、ベルリンだけではなく、ドイツ、さらにヨーロッパ全体の極右の動向についての論説も掲載されています。さすがにアーカイブですので、資料が豊富です。

 

 あわせて、この団体は、ブログ Berlin rechtsaußen (ベルリン・右翼)を運営しており、それは反人種主義などの様々な人権軽視のイデオロギーに対する知識の交流・ネットワークと企画を提供することを目的としています。

 

 

 このブログで、ウェブ展示として、"Immer wieder? Extreme Rechte und Gegenwehr in Berlin seit 1945"(繰り返し?1945年以降のベルリンにおける極右と抵抗)の情報がアップされています。そこではカタログ情報や無料の教育目的のパンフが無料で ダウンロードできます。

 

 もう一つの取り組みは、Rechtes Land(右翼の国)です。こちらはドイツにおける右翼の活動についてのオンライン・マップです。ネオナチおよびそのほかの右翼、団体、殺害・襲撃・行進の場所を地図化して記録するこころみです。またそこでもブログがあり、現行の調査結果が報告されています。

 

 

 また、apabizは、様々な反ファシズム・反人種主義団体が協力するネオナチ("Nationalsozialistischer Untergrund")監視センター NSU-Watch の共同設立団体でもあります。

 さらに、2006年以降、キャンペーン "Kein Bock auf Nazis"(ナチの犠牲になる「羊」をなくす意)に共同で取り組んでおり、こちらは若者向けのサポート、ネットワーク、情報提供を目的としています。

 

 反人種主義・ネオナチに抗するための包括的な取り組みでして、その活動の範囲と蓄積に率直に感心します。ドイツの極右とそれに対抗する現状の取り組みについて研究する際に、非常に役立つでしょう。