浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ロシア帝国への回帰――プーチンの歴史政策について

 2022年3月2日、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトに、「ロシア帝国への回帰――ウラジミール・プーチンの歴史政策について」と題した論説が掲載されました。

 

 

 冒頭部分を紹介します。

 まず、左派のロシア社会学者 Ilya Matveev 氏の分析を取り上げます。彼によれば、ウクライナへのロシアの攻撃は、経済的・地政学的な安全保障上の利益だけでは理解できず、支配エリート層の帝国主義的・国民主義イデオロギーを考慮しなければならないとのことです。彼らがかつての歴史的な大ロシアの再建を歴史的な使命として要求していることに注意すべき、と警告しています。

 次に、雑誌『東ヨーロッパ(Osteuropa)』2021年7月号を取り上げ、それに掲載された論説「時代の精神、ロシアからの戦争演説(Der Geist der Zeit. Kriegsreden aus Russland)」でも、最近のロシアの歴史政策とプーチンの解説を取り上げ、「プーチンの警告を真剣に受け止めなければならない」と指摘されていました。さらに、2020年の段階で、別の論者は、ロシアの「支配的な言説が帝国的・軍国主義的・威嚇中心的なものになっている」と主張していたそうです。

 そのうえで、2021年7月にプーチンの名前で公表された「ロシアとウクライナの歴史的一体性について」という論説の分析が続きます。

 

 また、関連する論説が、2022年2月27日にドイツの左派系ジャーナル JACOBIN に掲載されています。

 

 

 蛇足ですが、3月末からベルリンに滞在しています。ベルリンの図書館や博物館などの文化施設では、連帯を示すウクライナ国旗が掲げられています。ポツダム広場とウンター・デン・リンデンにあるベルリン州立図書館のいずれもその光景を目にしました。

 こちらはウンター・デン・リンデン館の入り口です。

 

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ベルリン州立図書館ウンター・デン・リンデン館入り口
(2022年4月3日筆者撮影)