浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

インゲ・ドイチュクローンさん逝去――Tagesspiegel紙より

 2022年3月9日、ベルリンの日刊紙ターゲスシュピーゲルのオンライン版に、ホロコースト生存者であり、ベルリン名誉市民でもあるインゲ・ドイチュクローン(Inge Deutschkron)さんの死亡記事が掲載されました。

 

 

 ジャーナリスト・作家でもあり、99歳で亡くなりました。日本語でも彼女の本がいくつか訳されています。CiNii Researchで「ドイチュクローン」で検索してみました。

 

 

 以下、記事にまとめられた略歴を紹介します。

 

 1922年8月23日にブランデンブルグのフィンスターヴァルデで生まれ、一年後に家族とともにベルリンへ移り住みました。父はビザでイギリスへ渡航することがまだできましたが、彼女は第二次世界大戦開始とともにナチの迫害によって亡命できませんでした。その後、母とともに非ユダヤ教徒の友人のもとでベルリンで隠匿生活を続けました。戦後は母とともにロンドンへ移住し、通信員としてボン、さらにテルアビブと転々とした後、2001年からふたたびベルリンに住みました。

 1978年、彼女は『私は黄色い星をつけていた(Ich trug den gelben Stern)』と題した自伝を出版し、のちにベルリンの子ども向けの劇場グリプス・テアーター(GRIPS Theater)で「今日から君の名はザーラだ(Ab heute heißt du Sara)」という題で上演されました。

 

 2000年・2001年にベルリンに留学しましたが、ちょうどこのときベルリン自由大学が提供する語学講座の先生が、この演劇を見る課題を出しまして、観劇の機会を得ました。記憶に残っています。