浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

東欧におけるドイツ植民地主義の遺産――Merkurより

 『メルクーア(Merkur) 』という、1947年に創刊されたドイツ語圏のヨーロッパ思想を専門とする雑誌があります。2022年3月30日に同誌のウェブサイトに、「ドイツ、ウクライナ、ロシア、そして東ヨーロッパにおけるドイツ植民地主義の遺産」というタイトルの論説が掲載されました。

 

 

 ざっくりとこの論説の主張を次のように理解しました。

 ドイツの東欧に対する見方を、歴史的にさかのぼり、とくにナチ・ドイツによる東欧支配、そして本来、その多元的な世界を「ロシア」と一面化すること、そしてその一面化した「ロシア」像をもってロシア政策を語ること自体が問題である。この一面化された「ロシア」政策論(親ロシア/反ロシアのように二元化を迫るもの)は、19世紀、さらに20世紀前半の東ヨーロッパにおけるドイツ植民地主義、とくにナチ・ドイツの軍事的暴力・強制労働政策の現実と、その経験を記憶として受け継ぐことを困難しているというものです。