浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

植民地主義批判からみた1848年革命とフランクフルト国民議会――ローザ・ルクセンブルク財団より

 2023年6月16日、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに、「帝国的アリーナとしてのパウロ教会」という論説が掲載されました。

 

 

 著者のアンドレアス・ボーネさんは、同財団のアフリカ担当部門のリーダーで、ブルシェンシャフトと植民地主義について博士論文を執筆したと紹介されています。今年の末に刊行が予定されているとのことです。ブルシェンシャフトは1815年に生まれた学生結社連合でドイツ学生同盟とも訳されます。統一と自由を掲げたドイツ・ナショナリズムの歴史に必ず出てきます。

 この論説では、2023年6月18日に向けて計画されていた、全ドイツ・ブルシェンシャフトは、フランクフルト国民議会175周年を記念する催しが中止されたことを紹介しています。ただし、この中止は、この歴史についての批判的な論争に向き合った結果ではなかったと指摘しています。

 そのうえで、著者は、パウロ教会で開催されたフランクフルト国民議会が、「帝国的なアリーナ」、植民地・勢力圏への攻撃的な希求を宣布する場所であり、そのことが歴史的記憶の空白となっていると批判しています。

 ボーネさんの博士論文の公刊が楽しみです。