浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

経営トップに占める女性の割合についての東西ドイツ比較――ターゲスシャウより

 2023年7月25日、北ドイツ放送が制作し、第1ドイツテレビジョン(Der Erste)で放映されるターゲスシャウ(tagesschau)のホームぺージに、「西ドイツよりも東ドイツに多い女性上司」という番組の内容を説明する記事を知りました。

 

 

 フリードリヒスハーフェンにあるツェッペリン大学の研究グループが発表した最近の研究によれば、各都市の公共事業体における女性の割合をみると、経営トップにおける女性の割合は、とくに東ドイツの都市に多いとのことです。

 たとえば、テューリンゲン(26.6%)、ザクセン=アンハルト(26.5%)、メクレンブルク=フォアポンメルン(25.2%)、ブランデンブルク(24.5%)があげられています。さらに、東ドイツでは69の調査対象都市の半分以上が経営トップに3割以上の女性が占めているそうです。

 これに対して、西ドイツの場合、その女性の割合は17.2%で、ハンブルクブレーメンは18.9%であって、東西の相違がみられます。その背景として、東ドイツの労働文化では、フルタイムでより多くの女性が働いており、その結果として経営トップにも女性が就いていると指摘されており、東ドイツ時代の労働文化の影響がみられるといいます。

 しかし、この問題を研究するイェシカ・ボックさんは、、東ドイツ時代には経営トップに女性が就くことはあまりなかったこと、また西ドイツと比べて東ドイツの賃金が全体として低いという格差があると述べています。そのうえで、この研究結果が東ドイツにおけるジェンダー不平等と女性の不利を覆い隠すことにならないように、と警告しています。