2020年6月29日に、BBC Newsのウェブサイトで、「どのようにイギリスの博物館がブラック・ライヴズ・マターに応えているのか」と題した論説が掲載されました。
この論説には、「ブラック・ライヴズ・マター後の博物館」という題目のニュース映像もついています。
イギリスの多くの博物館は、「ブラック・ライヴズ・マター」運動に賛意を表明しているとのことです。そうであればと、イギリスの博物館はイギリス帝国主義との過去とどう向き合うのかと問いかけられています。
そのうえで、オックスフォード大学付属のピットリバーズ博物館(Pitt Rivers Museum)の事例が紹介されています。そこには、世界中から約60万点の人類学的なコレクションが所蔵されているそうです。
現在、帝国主義の時代に集められた論議を呼ぶ収蔵品について、イギリスの博物館はオーストラリア、アジア、南米から返還を求められています。そのなかでも、アフリカからの返還要求については、明らかに植民地戦争の戦利品として獲得された場合、その歴史を語り直さなければならないため、返還作業に向けて多くの労力がいるという専門家の見解が言及されています。
とくに、大英博物館所蔵の「ベニン・ブロンズ」の返還か、貸与かをめぐる論争が紹介されています。ベニン・ブロンズについては以下のCNN日本語版ウェブサイト2020年6月12日付記事も参照ください。
そのほか「黒人キュレーター」が大英博物館にいないことの問題などが指摘されています。
このテーマに関する日本語文献として、荒井信一『コロニアリズムと文化財――近代日本と朝鮮から考える』(岩波書店、2012年)を挙げておきます。