2020年6月26日、 taz 紙にカント像を撤去すべきではない、という主張の記事が掲載されました。リンク先はこちらです。
ブラック・ライヴズ・マター運動を機に、世界各地で人種主義・植民地主義・帝国主義的な背景をもつ銅像の撤去をめぐる論争が起きています。かの啓蒙思想家イマヌエル・カントもその論争から逃れられないようです。
撤去反対の立場をとる上の記事は、カントは「肌の色」で「人種」を区分していたもの、それが遺伝的な「人種的特徴」となるものとみておらず、ダーウィニズム的な人種主義者ではなかったと主張しています。また、奴隷制のように人を隷属状態におくことに反対し、またイギリスのインド支配のような植民地化を批判していたことを指摘しています。
「文明化の使命」論のような「普遍主義」的な論理にもとづいた植民地支配のあり方を考えれば、上記のような単純な議論はできないと思いますが、こうした論争が起きていること自体、興味深いです。
カントの人種論については、以下の本を参照ください。