浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

革命の勝利と西欧マルクス主義について――ak紙より

 2023年5月16日、ドイツ語圏の左派系オンライン紙 ak(analyse & kritik: Zeitung für linke Debatte & Praxis)に、「どのように革命は勝利できるのか」という論説が掲載されました。

 

 

 これは、第一次世界大戦末期において、西欧マルクス主義が対抗革命の経験から形成されたことを振り返るものです。

 

 最初のいくつかの段落を要約します。

 まず、第一次世界大戦が同時代人にとって悪夢として記憶されたと指摘されます。新しく発明された戦車、速射できる機関銃、大規模に投下された毒ガス、空中戦の拡大が未曾有の苦悩をもたしました。そのうえで、終わらない陣地戦はその後に始まったプロレタリア階級の蜂起と革命の触媒になったことは疑いないといいます。

 そして、この論説では、戦間期のもっとも重要な共産主義知識人の2人、つまりカール・コルシュとジュルジュ・ルカーチに焦点を当て、彼らをその革命の企てが後々まで急進化させていくことになったと説明します。ルカーチは『歴史と階級意識』、コルシュは『マルクス主義と哲学』を出版し、マルクス主義理論への見方を変える論争を呼び、1968年のグローバルな蜂起における反乱する学生の結節点となったとのことです。

 1976年に、イギリスの歴史家ペリー・アンダーソンが『西欧マルクス主義について』という本を出版し、ルカーチとコルシュの本をマルクス主義の新潮流の開始に位置づけているとも指摘しています。そのうえで、これらの著作が与えたその後の左派知識人への影響を批判的に論じています。