2020年10月21日、African Review of Political Economy のブログに以下の論説が掲載されました。
「アフリカ系の人たちへのカール・マルクスの負債」と訳しておきます。
論説を紹介する編集者のリード文では、著者は、カール・マルクスが当時、アフリカへの「負債」を隠そうとせず、その知を根本的なものとして称えた数少ないヨーロッパの知識人であったと主張していることが述べられています。そして、アフリカ系の人たちがマルクスの理論・実践・著作の中心にあったこと、マルクス主義がヨーロッパ中心的なイデオロギーではない、といいます。
この論説は、著者の以下の雑誌論文を要約したものです。
- Biko Agozino, "The Africana Paradigm in Capital: The Debts of Karl Marx to People of African Descent," Review of African Political Economy Vol. 41, Issue 140, 2014, 172-184.
その論説が語るポイントは、『共産党宣言』の階級闘争がヨーロッパの階級闘争だけではなく、アメリカ大陸の近代奴隷制にも関わる言及があり、また人種=階級=ジェンダーの接合を強調するパラダイムとしてアフリカ系の人たちが中心に置かれていることを明らかにするために、『資本論』を探究したといいます。
マルクスをヨーロッパ中心主義的な思想家として批判したうえで、その先のマルクス主義を構想するのではなく、マルクスのなかに可能性を見出そうという路線だと思います。上記の論文も、時間があるときに、ちょっと読んでみます。