2020年7月9日、History Workshopのウェブ・サイトに人種主義的な警察行動についての歴史を振り返る論説が掲載されました。
人種差別的な警察行動が歴史、なかでも奴隷制と植民地主義に深い起源をもつことに注意を喚起しています。
具体例として、イギリスで奴隷に課された金属製の首輪や手枷・足枷などの拘束具と、現代の警察が使う手錠についての歴史的連続性に言及しています。
2009年7月にハーバード大学教授で、アフリカ系アメリカ人のヘンリー・ルイス・ゲイツ・ジュニア氏が白人警官に逮捕される事件がありました。*1
その彼にかけられた手錠は、イギリス・バーミンガムのHIATT社製であり、かつて同社は奴隷にされた人たちの鋼鉄製の首輪を供給していた会社でした。写真つきで解説されており、その手錠には所有者である警官の姓が刻印されています。ここに、奴隷制と植民地主義にかかわる根本的な部分での英米間の「特別な関係」があると指摘されています。
そのほか、逃亡奴隷についての新聞広告史料を取り上げて「自警主義」を論じています。画像史料も興味深く、勉強になりました。
*1:この事件に関連して、Democracy Now!のウェブサイトに掲載された記事を見つけました。「ハーバード大法学教授チャールズ・オグルトリー 新著『有罪推定:ヘンリー・ルイス・ゲイツ・ジュニアの逮捕とアメリカの人種・階級・犯罪』を語る」