2021年12月8日、ドイツ語ウェブサイト Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)に、「神話ではなく権力関係を――学問の自由の解放的理解のために」と題された共同署名の論説が掲載されました。
冒頭のリード文では、(クィア=)フェミニズム的、そして反人種主義的な立場が、今日、学問の自由を脅かしているという非難に直面していると指摘します。そのうえでこの自由の脅威といわれるものが、選択的で、政治的に動機づけられた個々の事例の劇場化に基づくものであり、権力の非対称性を見えなくさせると警句を発しています。
「キャンセル・カルチャー」、「ポリティカル・コレクトネス」、「ウォーキズム(Wokeism)」という言葉がドイツのメディアにも表れるようになり、それが左派からの「学問の自由」の脅威を招いていると疑問視する声が上がっているそうで、この論説はそれがむしろ「学問の自由」の誤用であると批判するものです。
差別に反対する声を上げることを攻撃したり、封じ込めたり、あるいは躊躇させるために、「学問の自由」という言葉を掲げてはいけないということでしょう。