浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツの右翼ネットワークについて――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトより

 2023年4月21日、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに、「右翼ネットワーク――民主主義の危険か」というタイトルの論説が掲載されました。リンクはこちらです。

 

 この論説は、ドイツ連邦議会左翼党会派の反ファシズム政策担当マルティーナ・レンナーさんへのインタビューから構成されています。ドイツ民主主義にとっての極右の危険性について、ローザ・ルクセンブルク財団のネオナチ担当のアニカ・タッシェさんがインタビュワーを務めています。

 冒頭の質問では、2022年12月にいわゆる「帝国市民ネットワーク」が明るみになった、と指摘され、何が起きたのかと問いかけています。

 それに対して、レンナーさんは、連邦検察は50人以上の容疑者が家宅捜索され、そのうちに23人が逮捕されたこと、「愛国主義同盟(Patoriotische Union)」と名づけられたネットワークが右翼勢力による国家転覆を計画していたことが罪状であったと述べています。まだ正確なところは不明だけれども、連邦議会に押し入り、議員を誘拐し、政府に圧力をかけようと資金と武器を調達していた、とのことです。また、解散についても語られていたと指摘されています。

 そして、このネットワークの背後には、現役の警察・兵士、そしてまた「ドイツのための選択肢(AfD)」とも結びついていること、とくに一人の旧AfD連邦議員の存在が強調されています。

 

 米国やブラジルで起きた議会への襲撃計画がドイツにもあったということです。昨年、ベルリンにいたときに、このニュースに驚きをもって視聴していました。新自由主義的世界における権威主義体制の広がりと物理的暴力の表出を感じさせる事件だったと思います。