浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ナチズムに対するシンティ・ロマの抵抗についての教材――ベルリンのドイツ抵抗記念館より

ベルリンにドイツ抵抗記念館という施設があります。*1 Gedenkstätte Deutscher Widerstand そこに「Bildungsangebote」という項目があり、さらにその下部に「Lernmaterialien」という教材提供ページがあります。 そのページに新たに、ナチズムに対するシンテ…

バウツェン市文書館――ソルブ語史料などオンライン目録、一部デジタル化史料の公開

中東欧マイノリティ史研究者向け情報です。*1 ドイツ東部ザクセン州のバウツェン市文書館が、年鑑、誓約書、規約ほか手稿を所蔵した「U III」のオンライン目録および一部デジタル化資料を公開したとの情報に接しました。該当のバウツェン市文書館を含むバウ…

ドイツ連邦文書館オンライン展示「ポリオワクチンをめぐる冷戦――政治と科学の間の小児まひ」について

ベルリン=リヒターフェルデに所在するドイツ連邦文書館をよく利用しています。ロッカー室から閲覧室までの通路に、たいてい史料展示があり、疲れたときに見ています。じっくり見たいし、また解説もあまりついていなくてよくわからないことが多いです。 これ…

「ゲスターポが来るまで」――ハンブルクのチャイナタウンについてのドキュメンタリー動画

2020年5月13日、ローザ・ルクセンブルク財団(rls_history)の案内で、「ゲスターポが来るまで」という短いドキュメンタリー動画がYoutubeにアップされていることを知りました。*1 ハンブルクのザンクト・パウリ地区にあるチャイナタウンを舞台にしています…

日歴協若手研究者問題特別委員会の取り組み――新型コロナウイルス感染症対応下の非常勤講師問題に寄せて

2020年4月22日、日本歴史学協会(以下、日歴協)若手研究者問題特別委員会は、 「新型コロナウイルス感染症対応下での教育現場における非常勤講師・兼任講師への適切な配慮と対応を求めます(呼びかけ)」 を同会ホームページで公開しました。 この取り組み…

ドキュメンタリ映画「略奪の記憶」――2020年5月22日のアルゼンチン債務不履行に寄せて

2020年5月22日にアルゼンチンが9度目の債務不履行になったというニュースを耳にしました。 このニュースを聴いて思い出すのは、「略奪の記憶」(2004年)というドキュメンタリー映画です。以下は、UNIFRANCEによる紹介サイトのリンク先です。 Memoire d'un s…

ドイツ連邦文書館のツイッター動画シリーズ――文書館員が2分で所蔵史料を解説します(2020年7月22日更新)

はじめに 1 これまでの投稿動画一覧 2 投稿動画についての簡単な紹介 第4回 ギョーム事件(1974年) 第5回 新しい国旗案(1919年) 第6回 最初の女性閣僚へのエリーザベト・シュヴァルツハウプトの指名 はじめに ドイツ連邦文書館のツイッター動画シリーズ「…

Schalom Freiburg!――フライブルクのユダヤ系コミュニティの足跡を辿る音声ガイド

「第3世界情報センター」(informationszentrum 3. welt)から、メーリングリストなどで色々と情報を得ています。*1 そのサイトの「Projekte」の一つに「そこは何だったか(War da das)」というページがあります。2020年はフライブルクの都市の歴史が始まっ…

uta köbernick - tee kochenについて

東ベルリン生まれで、政治風刺の歌詞で知られる歌手ウータ・ケーバーニクさん。 彼女の歌を知ったのは、オキュパイ運動に際して、youtubeで色々と動画を探していたときでした。色々と聴いてみましたが、この "tee kochen" も気に入りました。 uta köbernick …

2011年オキュパイ運動を思い出して――Uta Köbernickの歌"Empört"

昨今の政治状況から2011年9月17日にニューヨークで始まったオキュパイ運動を思い出しました。*1 2011年10月15日にハンブルクでのオキュパイ運動の様子に、東ベルリン生まれの政治風刺の歌で知られるウータ・ケーバーニク(Uta Köbernick)の歌 ”Empört”(怒…

H・アーレントと20世紀――ドイツ歴史博物館展示(2020年3月27日ー10月18日)

ドイツ歴史博物館(Deutsches Historisches Museum)には、ベルリンに研究調査に行くたびに、興味ある展示があるかどうか、あるいはこれまでの展示のカタログでいいものがないかと訪問します。 新型コロナ感染症の問題がなければ、今夏もベルリンに研究調査…

ドイツの反ファシズム関係7文書館の図書総合目録

こんなサイトを見つけました。*1 Bibliotheks-Verbundtakalog antifaschistischer Archive(反ファシズム文書館の図書館総合目録) 以下の7つの文書館が所蔵する2万点以上の図書の総合目録です。ナチズムの時代から1945年以降の極右の文献、専門書、二次文献…

東洋文庫オンライン画像データベース――「善本洋書」追加公開

(財)東洋文庫近代中国研究班の研究員でもあります。*1 先日、東洋文庫が発行する『東洋文庫見聞録』が届きました。 東洋文庫ホームページで公開されている貴重洋書「善本洋書」のうち「宣教師文書」と「旅行記」にそれぞれ貴重書が1冊ずつ、全ページ画像が…

2020年度歴研大会特設部会準備ノート(4)――西洋史若手研究者問題検討WG「日本西洋史学の未来」(2013年)の振り返り

はじめに 1 プログラムと報告資料 2 報告の振り返り (1)金澤報告について (2)崎山報告について 3 討論について 所感 はじめに 今回は、西洋史若手研究者問題検討ワーキンググループの活動のうち、2013年4月に開催された報告討論会を振り返ります*1 この…

2020年度歴研大会特設部会準備ノート(3)――拙稿「歴史学のアクチュアリティと向き合う」の振り返り

はじめに 1 執筆時の意図 2 視点と方法論 3 否定したかったこと 4 紹介したかったこと、議論に組み入れたかったこと 5 作業 6 特設部会に向けて はじめに 2020年度歴史学研究会大会特設部会に向けて、主旨文で参照してもらいました拙稿を振り返ります。*1 浅…

2020年度歴研大会特設部会準備ノート(2)――主旨文の検討

はじめに 1 全体会の主旨文について 2 特設部会の主旨文について 1)歴史研究者自身の「生きづらさ」としての「若手研究者問題」 2)大学院重点化とその後 3)国立大学法人化とその後 4)歴史学関係の取り組み 5)特設部会の目的 3 感想 はじめに 2020年12月…

アーロルゼン・アーカイブズについて――ナチ迫害の犠牲者・生存者史資料を収集する国際センター

ナチズムを専門に研究しているわけではないのですが、私の経済史ゼミでもだいたい毎年一人はナチズムに関する卒論をテーマにする学生が出てきます。 2020年5月9日、ナチ迫害の犠牲者・生存者に関する史資料を収集する国際センター、アーロルゼン・アーカイブ…

移民と移動――ハンブルク現代史研究所「記憶のワークショップ」

ハンブルク現代史研究所(FZH, Forschungsstelle für Zeitgeschichte in Hamburg)は、1990年より「記憶のワークショップ(Werkstatt der Erinnerung)」という活動に取り組んでいます。 最初に、ハンブルクでナチズムによって迫害された人たちの語りを収集…

日歴協の呼びかけ――新型コロナ感染症と非常勤講師問題

日本歴史学協会若手研究者問題特別委員会のメンバーの一人です。 日本歴史学協会は、歴史学関係の学会・研究会の相互交流、連絡のための学会組織です。その組織のなかに若手研究者問題特別委員会が設置されています。 2020年4月22日、同委員会が「新型コロナ…

2020年度歴研大会特設部会準備ノート(1)/心に残っている言葉

2020年12月5-6日歴研大会特設部会「『生きづらさ』の歴史を問うII―若手研究者問題について考える―」に向けて、毎週金曜16-18時に準備ノートを作り、このブログに掲載します。*1 2020年度歴史学研究会大会 第2日 12月6日(日) 9:30~17:30(特設部会11:…