浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

歴史教育

いかに戦後西ドイツの歴史学界が米国亡命歴史家のホロコースト研究に抵抗したか――『南ドイツ新聞』より

2023年6月25日に『南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeiung)』のオンライン版に、「部外者の正確なまなざし(Der präzise Blick der Außenseiter)」というタイトルの記事が掲載されました。 Probst Robert, Holocaust-Forschung nach 1945: Präziser Blick der A…

1927年「子ども共和国」――シュレースヴィヒ=ホルシュタイン歴史協会ホームページより

1927年に、当時、キール市が所有したゼーカンプ農場の敷地で、ドイツ、デンマーク、オーストリア、チェコスロヴァキアから労働者家庭出身の男女の子ども2000人がサマーキャンプのために集まりました。その4週間におよぶテント生活は、「子ども共和国ゼーカン…

ベルリンの左派社会運動の書店シュヴァルツェ・リッセについてのインタビュー記事――nd紙より

2023年5月22日、ドイツ語圏の左派系ジャーナル nd 紙Kollectiveökonomie(協同経済)の欄に、左派社会運動系の書店シュヴァルツェ・リッセ(Schwarze Risse、黒い裂け目、割れ目の意)についてのインタビュー記事が掲載されました。 Niels Seibert, Kollekti…

博物館の脱植民地化についてのドイツ語近刊紹介――sehepunkteより

ドイツ語圏の歴史学系オンライン書評誌 sehepunkte(視点の意)に、ブリュッケ博物館、ドイツ技術博物館、ベルリン市博物館が編集した、Das Museum dekolonisieren? という論文集の書評が掲載されました。 Tanja-Bianca Schmidt, Rezension von: Das Museum …

ザクセンにおけるナチズムについての記憶事業――ハンナ・アーレント全体主義研究所ブログ「手すりなき思考」より

2023年5月10日、Hypothesesという人文社会科学系プラットフォームのブログに、ハンナ・アーレント全体主義研究所ブログの投稿記事「ザクセンにおけるナチズムについての記憶事業」が掲載されました。 Francesca Weil/Uwe Hirschfeld/Jonas Kühne/Fruzsina Mü…

ナチ独裁と労働組合の破壊――ドイツ語圏のポータルサイト・労働組合の歴史より

以前にこのブログで、ドイツ語圏のポータルサイト「労働組合の歴史」を紹介しました。 「ドイツ労働組合の歴史についてのポータルサイト」浅田進史研究室/歴史学ブログ、2021年4月9日 SNSなどで、このサイト内の、"NS-Diktatur und Zweiter Weltkrieg(ナチ…

社会的市場経済の形成についての神話と事実――L!NXより

2023年4月、「デジタル教育プラットフォーム」を掲げる、ドイツ語圏の左派系ウェブサイト L!NX に、「社会的市場経済の形成についての神話と事実」という項目が掲載されました。 Mythen und Fakten zur Sozialen Marktwirtschaft, in: L!NX, April 2023. リ…

1933年4月1日の「ユダヤ・ボイコット」について――ドイツ連邦文書館より

ドイツ連邦文書館SNSより、1933年4月1日、ドイツでユダヤ系商店・事業者に対するボイコットが全国的に広がった事件についての同時代の図像史料と背景説明のウェブページが紹介されました。 Sabine Dumschat, "Judenboykott", in: Bundesarchiv Internet. 193…

亡命知識人の事例としてのアルバート・アインシュタイン――ドイツ連邦文書館ヴァーチャル展示より

ドイツ連邦文書館のSNSでは、同館のヴァーチャル展示がよく紹介されますが、そのひとつとして「亡命知識人エリート――アルバート・アインシュタイン」を知りました。リンク先はこちらです。 Intellektuelle Elite im Exil: Albert Einstein, in: Bundesarchiv…

ベルタ・タールハイマーについて――Frauen & Geschichte Baden-Württembergより

以前にこのブログで、Frauen & Geschichte Baden-Württemberg e.V. (女性と歴史・バーデン=ヴュルテンベルク 社団法人)のウェブサイトを紹介しました。 「『女性と歴史・バーデン=ヴュルテンベルク』ウェブサイトについて」浅田進史研究室/歴史学ブログ…

赤い足跡――女性労働者(と男性労働者)の歴史に力点をおいたドイツ語ウェブサイト

"Rote Spuren: Interessiert an der Geschichte der Arbeiterinnen und Arbeiter(赤い足跡――女性労働者および男性労働者の歴史に関心を払う)"というウェブサイトにたどり着きました。 Rote Spuren: Interessiert an der Geschichte der Arbeiterinnen und …

ポール・ロブソンについての評論――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトより

2023年4月9日、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトに、「ポール・ロブソン――左翼の悲劇的英雄」というタイトルの論説が掲載されました。 Mario Kesseler, Paul Robeson: The Left's Tragic Hero, in Rosa-Luxemburg-Stiftung, April 9, 2023. リード…

ナチ・ドイツによるロマ・シンティのジェノサイドについて――デジタル教育プラットフォームL!NXより

ドイツ語・英語のデジタル教育プラットフォームL!NXについて、このブログで紹介したことがありますが、また別の項目が気になったので、ここでメモしておきます。 2022年7月に公開されたものですが、「ロマ・シンティへの民族虐殺――ロマーニ・ローゼとのイン…

ドイツ史におけるユダヤ教徒の女性たち――ドイツ連邦政治教育センターより

ドイツ連邦政治教育センターのウェブサイトにある「現代史・文化史」欄に「ドイツにおけるユダヤ教の生活」という項目があります。そこに、2023年3月30日に、「ドイツ史におけるユダヤ教徒の女性たち」という論説が掲載されました。ドイツ近現代史における宗…

右翼に抗する労働闘争――デジタル教育プラットフォームL!NXより

批判的視点から様々な社会問題の基本的な知識を身につけたいすべての人に開かれたデジタル教育プラットフォームを謳う、ドイツ語・英語のウェブサイト L!NX というウェブサイトがあります。このサイトについては、このブログで以前にも紹介したことがありま…

労働組合について――ZDF(第2ドイツテレビ)が提供する子ども向け解説番組 logo!より

ZDF(Zweites Deutsches Fernsehen、第2ドイツテレビ)というドイツの公共放送局のホームページで、logo!という子ども向けニュース解説番組があることを知りました。 logo! - die Kindernachrichten des ZDF - ZDFtivi 色々と多彩な内容が放送されていますが…

1848年の三月革命とルイーゼ・オットー=ペータース――デジタルドイツ女性アーカイブのポッドキャスト番組Listen to the Archiveより

このブログで以前に、デジタルドイツ女性アーカイブのポッドキャスト番組 Listen to the Archive を紹介しました(リンクはこちら)。 その第5回のタイトルは、「『自由は不可分だ』(ルイーゼ・オットー・ペータース)――三月革命175周年」です。紹介文と番…

カール・フォン・オシエツキーについてのヴァーチャル展示――ドイツ連邦文書館より

今年2月28日のドイツ連邦文書館SNSで、90年前のこの日、ジャーナリスト、文筆家、そして平和主義者であるカール・フォン・オシエツキーが逮捕された、ということを知りました。ドイツ国会議事堂放火事件後、ゲスターポがナチ体制の敵とみなした人物を大量検…

バウハウスと戦間期左派学生運動――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトより

バウハウスの歴史を扱った論説を、たびたび目にしますが、今度は社会主義をタイトルに掲げた書評を紹介します。 Bernd Hüttner, Sozialismus am Bauhaus, in: Rosa-Luxemburg-Stiftung, 21. März 2023. これは近著の2冊を取り上げたもので、1920年代末・1930…

ロシア革命とフェミニスト――Jacobin誌より

2年前になりますが、2021年4月27日にドイツ語圏の左派系オンライン誌 Jacobin に「女性なくして革命なし」という記事が掲載されました。 Jana Günther, Ohne Frauen keine Revolution, in: Jacobin, 27. April 2021. リード文では、ロシア革命の過程で、フェ…

革命の歴史家マンフレート・コソックについて

2023年2月27日、ドイツ語圏の左派系オンライン誌 Jacobin に、東ドイツの歴史家で、In Tyrannos: Revolutionen der Weltgeschichte (Leipzig, 1989)[暴君のなかで――世界史の諸革命]という代表作をもつマンフレート・コソック氏(1930-1993年)を紹介する…

クルト・アイスナーについてのあれこれ

2023年2月末にバイエルン州立図書館での資料収集のために、ミュンヒェンへ行ってきました。 その週末にミュンヒェン市博物館を訪問したところ、クルト・アイスナー(Kurt Eisner)にまつわる展示も見つけました。同博物館では、生誕150周年にあたる2017年に…

1989・90年、東ドイツ体制転換についての研究動向論文――オンライン現代史事典ドキュペディア・ツァイトゲシヒテより

ドイツ語圏の現代史オンライン事典ドキュペディア・ツァイトゲシヒテ(Docupedia-Zeitgeschichte)というウェブサイトがあります。 Docupedia-Zeitgeschichte 2022年10月、このウェブサイトに、1989・1990年以降の東ドイツ体制転換についての研究動向をまと…

ベルトルト・ブレヒトについて――Jacobin誌より

2023年2月10日にドイツ語圏の左派系オンライン誌 Jacobin に、生誕125周年を記念して、ベルトルト・ブレヒトがいかに古典となったか、彼の作品をめぐる同時代の評価を論じた記事が掲載されました。 Marc Silberman, Klassiker wider Willen, in: Jacobin, 10…

テクストのなかのバウハウス

「テクストのなかのバウハウス(Bauhaus im Text)」というウェブサイトにたどり着きました。バウハウスの遺産として建築物や日用品、工芸品だけではなく、膨大なテクストがあり、それは「近代の学校」としてのバウハウスの根幹となる特徴の一つだと、このウ…

ドイツ記憶文化をめぐる「和解劇場」論について――マックス・チョレック氏の近著より

2023年2月5日にダス・エルステ(Das Erste、第1ドイツ・テレビ)局より放送された、作家マックス・チョレックによる近著『和解劇場』を取り上げた番組が放送されました。 "Versöhnungstheater": Max Czollek über einseitige deutsche Erinnerungskultur, in…

ドイツの1933年1月30日を語る本――ナチズムに抗する記憶の古典について

2023年2月1日、ドイツ語圏の現代史系ウェブサイト、Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)に、ドイツの1933年1月30日、つまりヒンデンブルクによってヒトラーが首相に任命されたナチによる権力掌握の日の記憶にかかわる2冊の基本文献を紹介する論説が掲載…

ドイツ女性参政権特集――i.d.a.より

30以上の女性・レズビアンに関する文書館・図書館・資料館の連合組織である i.d.a.(Dachverband deutschsprachiger Lesben-/Frauenarchive, -bibliotheken und -dokumentationsstellen)のホームページに、1919年1月19日、ドイツでの国民議会選挙ではじめて…

グローバル史的視角のなかの1933年

2023年1月20日、ドイツ連邦政治教育センターが発行する雑誌『政治と現代史から(Aus Politik und Zeitgeschichte)』より、「グローバル史的視角のなかの1933年」と題した論説が公表されました。 Sven Reichardt, 1933 in globalgeschichtlicher Perspektive…

ドイツ史学習のためのオンライン・ポータルサイトLeMOと「植民地政策」

ドイツ史学習のためのオンライン・ポータルサイト、LeMO、すなわち「生きている博物館オンライン(Lebendiges Museum Online)」は、ドイツ歴史博物館や「ドイツ歴史の家」財団、ドイツ連邦文書館による共同プロジェクトです。便利なので講義準備の際に、よ…