浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

研究ノート

東洋文庫論叢:久保亨・瀧下彩子編『戦前日本の華中・華南調査』東洋文庫、2021年について

2021年3月、東洋文庫近代中国研究班のメンバーより、以下の論文集が公刊されました。 久保亨・瀧下彩子編『戦前日本の華中・華南調査』東洋文庫、2021年 非売品です。6月に東洋文庫論叢のリポジトリでウェブ公開されました。上記にリンクを貼っています。目…

ドイツ語ポッドキャスト Zeit für Gender について

2021年4月24日、ドイツ語ポッドキャスト Zeit für Gender(ジェンダーのための時間の意)に、「組織化できないもの――繊維・衣服産業における女性の組合活動」というタイトルの企画の録音がアップされました。放送時間は22分です。 'Die Unorganisierbaren': …

マルセル・ファン・デア・リンデンの「一つの世界階級」論

研究メモです。 2021年4月30日、ドイツ語日刊紙ユンゲ・ヴェルト( Junge Welt)にグローバル労働史を提唱するマルセル・ファン・デア・リンデン氏の論説が掲載されました。 Marcel van der Linden, Einfach Weltklasse, in: Tageszeitung junge Welt, 30. A…

デジタル化されたコミンテルンの反帝国主義同盟関係資料について

研究メモです。 反帝国主義同盟(League against Imperialism)に関するコミンテルンのファイルのデジタル化資料が閲覧できるとのことです。以下のリンクのドイツ語史料のなかに、1926年2月のベルリン市庁舎地下室での会合出席者のリストがあるそうです。 До…

ドイツ連邦文書館の画像資料を検索する――ドイツ太平洋植民地を事例に

ドイツ連邦文書館のSNSで、ドイツの太平洋植民地、ドイツ語ではしばしば「南洋植民地」と表記されますが、その図像資料を多く含む、ハインリヒ・ハーゲドルン(Heinrich Hagedorn)関連資料についての情報提供がありました。 それに関連して、ドイツ連邦文書…

Archiv für Sozialgeschichte 第60巻(2020年)について

ドイツ社会民主党系のフリードリヒ・エーベルト財団が刊行する『社会史アルヒーフ(Archiv für Sozialgeschichte)』の第60巻が2020年に刊行されました。「連帯」が特集テーマでして、タイトルを日本語で仮訳すれば、「『インターナショナルに誓って・・・』…

歴史雑誌『労働-運動-歴史』の特集「労働者と他者」より

Arbeit-Bewegung-Geschichte(労働-運動-歴史)という労働史を専門とするドイツ語の学術雑誌があります。その2021年第1号の特集が、「労働者と他者」です。目次はこちらからどうぞ。 20. Jahrgang - Heft 2021/I | Arbeit – Bewegung – Geschichte: Zeit…

ドイツ連邦文書館所蔵のドイツ植民地主義関連史料について

ドイツ連邦文書館は、同館に所蔵されているドイツ植民地主義の歴史に関する史料のデジタル化を進めています。これに関連して、以下のようなページにたどりつきました。 Bundesarchiv Internet - Grenzexpedition und Völkermord – Quellen zur Kolonialgesch…

共産主義インターナショナルのグローバル史

研究メモです。 2020年11月に、ブリギッテ・シュトゥーダー氏による『世界革命の旅行者――共産主義インターナショナルのグローバル史』と題したドイツ語の書籍が出版されました。 Brigitte Studer, Reisende der Weltrevolution: Eine Globalgeschichte der K…

『性と階級闘争――19・20世紀ドイツおよび国際的な視点からの「婦人問題」』(2020年)について

研究のメモです。 2020年11月に『性と階級闘争――19・20世紀ドイツおよび国際的な視点からの「婦人問題」』と題したドイツ語の論集が出版されました。ここにメモしておきます。 Vincent Streichhahn/Frank Jacob (Hrsg.), Geschlecht und Klassenkampf. Die „…

脱植民地的ベルリンアフリカ会議と脱植民地的都市記憶文化プロジェクトについて

2020年11月15日、「脱植民地的ベルリンアフリカ会議(Dekoloniale Berliner Afrika-Konferenz)」がベルリン・ミッテ地区のヴィルヘルムシュトラーセ(ヴィルヘルム通り)92番の「プロイェークト・ラウム(Projektraum、企画室の意)」からライブ配信されま…

『エマ・ゴールドマンとロシア革命』(2020年)――オープンアクセスの研究書

『エマ・ゴールドマンとロシア革命――賞賛から落胆へ』と題した本のPDF版がただいまオープンアクセスでダウンロードできます。 Frank Jacob, Emma Goldman and the Russian Revolution: From Administration to Frustration. De Gruyter Oldenbourg 2020. 本…

国際レズビアンデーによせて――デジタルドイツ女性アーカイブの史資料検索

だいぶ情報が遅れましたが、10月8日は International Lesbian Day とのことで、2020年10月8日にデジタルドイツ女性アーカイブ(Digitales Deutsches Frauenarchiv)は、同ウェブサイトの検索窓から "Lesben Öffentlichkeit" で検索することをおススメしてい…

Brill出版社の Studies in Global Social History のシリーズより新刊オープンアクセス情報

研究ノートです。2020年に以下の書籍がBrill社から出版されました。Hardbackと合わせて、E-Book(PDF)版がありますが、E-Book版は現在オープンアクセスになっており、無料ダウンロードできます。 Pepijn Brandon/ Peyman Jafari/ Stefan Müller (eds.), Wor…

Grenzenlos――植民地主義から問い直すハンブルクの歴史展示

ドイツ植民地主義にかかわる歴史展示の紹介です。 ハンブルクの労働博物館(Museum der Arbeit)で、2020年9月30日から2021年4月1日まで "Grenzenlos: Kolonialismus, Industrie und Widerstand" と題した特別展示が開催されています。副題は「植民地主義、…

ドイツ連邦文書館所蔵ヴァイマル共和国期史料のデジタル化――「黒い恥辱」関連資料

2020年9月15日、ドイツ連邦文書館所蔵のヴァイマル共和国期史料に関するブログ "Weimar - Wege zur Demokratie" に、新しいデジタル化に関する報告が掲載されました*1 Digitalisierung (11): Bestand R 1603 Rheinische Volkspflege | Weimar – Wege zur De…

「歴史家論争2.0」――マイケル・ロスバーグの論説より

「現在の歴史(Geschichte der Gegenwart)」というドイツ語のウェブサイトがあります。 Geschichte der Gegenwart このサイトに、2020年9月23日、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のホロコースト史研究者、マイケル・ロスバーグ(Michael Rothberg)氏の論…

国際連合の歴史についてのレポート――ローザ・ルクセンブルク財団より

研究備忘録です。 2017年8月、ローザ・ルクセンブルク財団より創設から70年を過ぎた国際連合の歴史を批判的に検証する冊子が公開されました。フリーでダウンロードできます。 James A. Paul, Of Foxes and Chickens: Oligarchy and Global Power in the UN S…

第3回関西デジタルヒストリー研究会「COVID-19下の図書館によるデジタルサービスの実態と課題」に向けて

告知です。 2021年1月23日(土)13時~15時に第3回関西デジタルヒストリー研究会がZoomミーティング方式で開催されます。テーマは「COVID-19下の図書館による デジタルサービスの実態と課題」です。チラシ、参加申込フォーム、プログラムのリンクはこちらで…

新しい世代の「右翼の現代史」研究――zeitgeschichte | online(現代史オンライン)より

いつもながらローザ・ルクセンブルク財団からの情報で、「右翼」をめぐる現代史研究の新しい動向を知りました。 Zeitgeschichte der Rechten. Neue Arbeiten zu einem jungen Forschungsfeld 「右翼の現代史――最近の研究領域への新しい研究」といった意味で…

ドイツ植民地戦争の過去と補償問題――ナミビア政府の修正要求

ローザ・ルクセンブルク財団からの情報で、ドイツ植民地戦争とその責任追及に関連するニュースを知りました。今年8月上旬のことです。 "Namibia Rejects German Genocide Reparations Offer," Eyewitness News, August 2020 1904年から1908年にかけて、現在…

ポストコロニアル・ベルリン――「歴史を消し去りたいのではない」

ブラック・ライヴズ・マター運動は、ドイツでの植民地支配の歴史との向き合い方をめぐる議論に火をつけた感があります。 2020年8月7日、Norddeutscher Rundfunk (北ドイツ放送)のラジオ&テレビ局のウェブサイトで、Berlin Postkolonial という団体のスポ…

Radical Online Collections and Archivs について――New Historical Expressより

New Historical Expressというウェブサイトを知りました。 New Historical Express このウェブサイトを運営しているエヴァン・スミス氏は、南オーストラリア州のフリンダース大学で歴史学のリサーチ・フェローです。イギリスの共産党および戦後の反人種主義…

『インド日記』――1912・13年ベルリンの女権論者アナ・パップリッツの旅行記について

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ベルリンでの売春禁止運動に積極的に関与した女権論者で文筆家アナ・パップリッツ(Anna Pappritz, 1861-1939)という人がいます。 1912年11月から1913年2月にかけて、パップリッツはセイロン・インド・カイロに旅行してお…

『ドイツ再統一後の東ドイツの歴史家たち』(2017年)について

研究のためのメモ書きです。 Sunny Pressから2017年にハードカバー版、2018年にペーパーバック版として、以下の論集が公刊されています。 Axel Fair-Schulz/ Mario Kessler (eds.), East German Historians since Reunification: A Discipline Transformed, …

W・E・B・デュボイスのヨーロッパ旅行ルート(1892-1894年)――Helmut Walser Smithさんのウェブサイトより

数多くの研究業績をもつドイツ近現代史研究者、Helmut Walser Smithさんのホームページに、W. E. B. デュボイスが1892年から1894年にかけてヨーロッパを旅行したルートを記した地図がアップされました。HWS Mapsと題されたページに掲載されています。 The Tr…

「植民地なき植民地主義」としてのスイス――Neue Züricher Zeitungのインタビュー記事より

2020年7月10日、Neue Züricher Zeitung(新チューリヒ新聞)のウェブサイトに、植民地期インドを主な研究領域として、トランスナショナル史・グローバル史に取り組むハラルド・フィッシャー=ティネ(Harald Fischer-Tiné)氏へのインタビュー記事が掲載され…

「社会の自己理解が問題だ」――ドイツにおける人種主義について

2020年7月2日、Jungle.World というジャーナルのウェブサイトに、ドイツにおける人種主義をめぐる論争を取り上げたインタビュー記事が掲載されました。タイトルとリンク先はこちらになります。 ”Es geht um das Selbstverständnis der Gesellschaft”, in Jun…

外国史研究者のカタカナ表記の悩み

はじめに "v" と "w" について 「ッ」を入れるかどうか ドイツ語の "r" の表記 Duden至上主義で解決できる? ドイツ語の"-ow"のカタカナ表記 カタカナ表記の悩みは外国の研究者にあまり共有されない 地名・国名は収拾がつかない ビッグネームほどなかなか変…

オンラインジャーナルHistoreinの最新号、グローバル労働史特集

この新型コロナ危機のなか、オンライン・ジャーナルの存在がありがたいです。Historeinというオンライン・ジャーナルを知りました。ウェブサイトは以下の通りです。 Historein: a review of the past and other stories ギリシャのアテネに所在するCultural …