浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ナチズム、ホロコースト

東欧におけるドイツ植民地主義の遺産――Merkurより

『メルクーア(Merkur) 』という、1947年に創刊されたドイツ語圏のヨーロッパ思想を専門とする雑誌があります。2022年3月30日に同誌のウェブサイトに、「ドイツ、ウクライナ、ロシア、そして東ヨーロッパにおけるドイツ植民地主義の遺産」というタイトルの…

インゲ・ドイチュクローンさん逝去――Tagesspiegel紙より

2022年3月9日、ベルリンの日刊紙ターゲスシュピーゲルのオンライン版に、ホロコースト生存者であり、ベルリン名誉市民でもあるインゲ・ドイチュクローン(Inge Deutschkron)さんの死亡記事が掲載されました。 Holocaust-Überlebende mit 99 Jahren gestorbe…

Gedenkort-T4――ナチ「安楽死」犯罪に関するウェブサイトについて

Gedenkort-T4は、ベルリンのティーアガルテン通り4番地で行われたナチによる「安楽死」殺人の犠牲者を祈念し、その歴史についての情報を発信するオンライン・サイトです。2011年以降、このサイトは設置されているとのことです。 T4 Gedenk- & Informationsor…

ヴァイマル共和国時代のドイツ社会学について――Archivportal-Dより

ドイツ文書館総合ポータルサイト Archivportal-D の "Im Blickpunkt(視点のなかで)" というオンライン史料展示企画のなかで、ヴァイマル共和国時代のドイツ社会学をテーマとした論説が掲載されました。 Sebastian Klauke, Soziologie in der Weimarer Repu…

オットー・ヴェルス――ドイツ連邦文書館ヴァーチャル展示より

2022年2月2日、ドイツ連邦文書館の情報発信で、「オットー・ヴェルス――『自由と命は奪われても、名誉は奪われない』」と題したヴァーチャル展示が紹介されました。 Virtuelle Ausstelung: Otto Wels. „Freiheit und Leben kann man uns nehmen, die Ehre nic…

「これは非ナチ化ではなく、ホロコーストの歪曲・軽視だ」――シュピーゲル誌のインタビュー記事より

2022年2月28日、ベルリンの代表的な週刊誌『シュピーゲル』のウェブサイトに、ロシア大統領ウラジミール・プーチンがウクライナ侵攻を正当化する際に、「非ナチ化」だと主張することを批判するインタビュー記事が掲載されました。 Isabel Metzger, Ukraine-K…

2010年1月27日、ドイツ連邦議会でのポーランド人歴史家ティッチのゲスト・スピーチ――ナチズムの犠牲者を悼んで

ドイツ連邦議会のウェブサイトに、ゲスト・スピーカー一覧のページがあります。 Deutscher Bundestag - Reden ausländischer Gäste im Plenum des Deutschen Bundestages その一つとして、2010年1月27日に行われたナチズムの犠牲者を悼むために、招待された…

ナチ・ドイツによるウクライナ侵攻、1943・44年――nd紙の書評より

プーチン政権下のロシアによるウクライナ侵略戦争が起きています。 2022年2月1日、ドイツ語の左派系オンライン新聞、nd紙に、「限りない残酷さ」というタイトルで、1943・44年のナチ・ドイツによるウクライナ侵略における暴力を研究した本の書評が掲載されま…

ミヒャエル・ヴィルト『飛散した時代』についての書評、インタビュー

2022年1月30日、ドイツ現代史家のミヒャエル・ヴィルトによる2022年1月に出版された近著、Zerborstene Zeit(飛散した時代)についての書評が、『南ドイツ新聞』に掲載されました。 Dietmar Süß, Mit Gespür für historische Umbrüche, in: Süddeutsche Zeit…

『義勇軍とファシズム』――絶滅戦争を担った義勇兵の事典について

"Freikorps und Faschismus(義勇軍とファシズム)"というタイトルの本が出版されました。この本は、1918-1923年に突出した義勇兵闘士で後に絶滅戦争で重要な役割を果たした人物だけでなく、政治家として義勇軍のテロ行為を支えたり、あるいは傍観したり、…

Z世代とナチズム――ターゲスシュピーゲル紙より

2022年1月25日、ベルリンの日刊紙『ターゲスシュピーゲル(Tagesspiegel)』オンライン版に、「Z世代とナチズム――若者は親よりもナチ期に関心がある」というタイトルの論説が掲載されました。 Christoph David Piorkowski, Generation Z und Nationalsoziali…

新しい反ユダヤ主義か――ローザ・ルクセンブルク財団の書評より

2022年1月21日、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトで、2004年に刊行され、2019年に新版が発行された『新しい反ユダヤ主義か』という題名の論集が紹介されました。新版は副題が変わっており、2004年版は「グローバルな議論」で、2019年版は「グローバ…

ユダヤ系の人びとによるナチズムへの抵抗について――『南ドイツ新聞』近刊3冊の書評より

2022年1月23日、『南ドイツ新聞』のウェブサイトに、ナチ・ドイツのテロ行為にユダヤ系の人びとの抵抗にかんして、近刊の3冊を紹介する論説が掲載されました。「ホロコースト――決死の覚悟をもった人たち」という意味の題名です。 Stephan Lehnstaedt, Holoca…

国際ホロコースト記念日に寄せて――ドイツ連邦文書館ウェブサイトより

1945年1月27日は、「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」です。2015年1月21日付の国連広報センターのプレスリリースはこちら。 「1月27日は『ホロコースト犠牲者を想起する国際デー』 国連広報センター、2015年1月21日 ドイツ連邦文書館ウェブサイトでは…

現代ドイツと植民地主義論争――メディコ・インターナショナルより

2021年9月21日、ドイツのフランクフルト・アム・マインを本拠地とする人権団体メディコ・インターナショナル(Medico International)のウェブサイトに、ハンブルク大学でドイツ植民地主義の研究で知られるユルゲン・ツィンメラー(Jürgen Zimmerer)さんへ…

ファシズムに抗する研究調査プロジェクト――「反ファシスト・ヨーロッパ」について

ファシズムに抗する「反ファシスト・ヨーロッパ」という研究プロジェクトを知りました。ホームページへのリンクはこちらです。 Antifascist Europe 極右および右翼ポピュリスト政党の展開とトランスナショナルなネットワークを監視することを目的としていま…

ナチ期に焚書に遭った本の図書館について

アウクスブルク大学のウェブサイトに、Bibliothek der verbrannten Bücher(焚書の図書館)というページがあることを知りました。リンクはこちらです。 Bibliothek der verbrannten Bücher ナチ・ドイツで禁止され、追いやられたドイツ語文献の初版本が対象…

ナチ期のベルリンでユダヤ系の人びとを救ったアラブ人ネットワークについて――ターゲスシュピーゲル紙のインタビュー記事より

2017年10月19日付のベルリンの日刊紙ターゲスシュピーゲル紙のウェブサイトに、「あるユダヤ系女性を救ったムスリム」というインタビュー記事が掲載されました。 Johannes C. Bockenheimer, Berlin während des Holocausts: Der Muslim, der eine Jüdin rett…

ヴァンゼー会議記念館のオンライン展示について

2022年1月8日がラインハルト・ハイドリヒがヴァンゼー会議を招集して80年目です。ヴァンゼー会議記念館のSNSが発信していました。同館のウェブサイトを訪問したところ、史資料の公開、教材、さらにオンライン展示も充実していました。 オンライン展示のリン…

現代ドイツ労働法とナチ期との連続性について――ドイチュラントフンクより

2021年12月14日、ドイチュラントフンクより「ハンス・カール・ニッパーダイの家父長主義的労働法――企業家に心服する」というタイトルの記事と録音放送が掲載されました。 Peter Kessen, Das paternalistische Arbeitsrecht des Hans Carl Nipperdey: Den Unt…

ナチ親衛隊によるルンブラでの虐殺――ドイチュラントフンクより

1941年11月30日と同年12月8日、ラトビアのリガ近郊に位置するルンブラの森で、2万7500人のユダヤ系の住民がドイツのナチ親衛隊と警察部隊によって射殺されました。その80周年を機に、2021年12月8日、ドイチュラントフンクのウェブサイトに特集記事が掲載され…

ナチ・ドイツ「全国収穫感謝祭」の過去を記録するビュッケベルク記録・学習施設について

2021年11月25日、北ドイツ放送(NDR, Norddeutscher Rundfunk)のウェブサイトに、ナチ・ドイツの「全国収穫感謝祭(Reichserntedankfest)」(あるいは「帝国収穫感謝祭」)の地となったハーメルンのビュッケベルク(Bückeberg)に、記録・学習祈念施設の設…

フリッツ・トビアス関係資料のオンライン公開――1933年2月ドイツ国会議事堂放火事件との関わりで

昨日の経済史講義で、ドイツ国会議事堂放火事件について触れました。ちょうどドイツ連邦文書館より、フリッツ・トビアス氏(Fritz Tobias, 1912-2011年)関係資料のデジタル化と大部分のオンライン公開についての記事を知りました。 Digitalisierung der "S…

ベルリンから強制収容所へ――80年前を振り返るオンライン記事について

グルーネヴァルト駅の17番線は、おそらくベルリンから強制収容所へ移送される最も有名な場所です。そのような一文から始まる記事が、2021年10月18日、rbbというベルリンのラジオ局のウェブサイトに掲載されました。 Matthias Schirmer, Von wo aus Berliner …

チューリヒ美術館でのビューレ・コレクションの来歴について――武器商人とナチ・ドイツ

チューリヒ美術館(Kunsthaus Zürich)のエミール・ビューレ(Emil Bührle)の美術収集品についての紹介記事です。 Niklas Maak, Das Kunsthaus Zürich zeigt die Sammlung des Waffenhändlers Emil Bührle, in: Frankfurter Allgemeine Zeitung, 3. Oktober…

ニュルンベルク裁判関係史料のオンライン公開

スタンフォード大学のオンライン・アーカイブより、ニュルンベルク裁判関係史料がオンライン公開されました。公開された史料の総データ容量は50テラバイトとのことです。リンク先はこちら。 Taube Archive of the International Military Tribunal (IMT) at …

Memoria, 48(09/2021)――アムステルダムのホロコースト・ネーム・モニュメントより

メモです。 オランダのアムステルダムにあるホロコースト・ネーム・モニュメントが発行する機関誌 MEMORIA が公開されています。 Memoria, No. 48 (09/2021) 内容は以下の通りです。 KL Plaszow. An Interview about the New Space of Memory in Cracow Holo…

ホロコースト関連論説・記事あれこれ

またメモです。 ナチズム、ホロコースト、ジェノサイドに関わる最近の記事へのリンクです。 まず、2021年9月30日、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトに、75年前のニュルンベルク裁判を振り返る論説が掲載されました。 Ralf Oberndörfer, Juristisch …

ドイツの戦後補償の取り組みについて――ドイツ連邦財務省のポータルサイト

メモです。 ドイツ連邦財務省のウェブサイトに、ドイツの戦後補償に関する特集ページがあります。 Bundesfinanzministerium - Wiedergutmachung und Kriegsfolgen リード文は、「ナチ不正の補償と二つの世界戦争からの戦争結果の除去は、今日までドイツ連邦…

「マルタ・ヒラースは誰だったのか」――匿名ベストセラー『ベルリンのある女性』をめぐって

2021年9月22日、Hypothesesというサイトに、「マルタ・ヒラースは誰だったのか」という論説が投稿されました。 Manuela Ostermeier: Wer war Marta Hillers? Kontroversen zum Bestseller „Eine Frau in Berlin“ von Anonyma, in: Hypoteses, 22. September …