浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ナチズム、ホロコースト

1945年以降の反ファシズム特集号――ドイツ語圏の労働運動史雑誌より

2022年10月8日、ドイツ語圏の労働運動史雑誌である、Arbeit-Bewegung-Geschichte (労働-運動-歴史)の2022年10月に刊行された第21巻第3号の目次がアップされました。特集テーマは、「シーシュポスとなる運命――1945年以降の反ファシズム」です。 21. Jahrg…

HANNAH――反ユダヤ主義的神話を克服するための取り組み

HANNAH というウェブサイトを知りまして、こちらで紹介しておきます。 HANNAH こちらは、2020年から2022年にかけて欧州連合プログラム「権利、平等、市民権」に共同出資された、反ユダヤ主義的な「神話」を克服するための取り組みです。ドイツ、ポーランド、…

歴史家は論争する――アインシュタイン・フォーラムより

2022年9月29日に、ズーザン・ナイマンさんとミヒャエル・ヴィルトさんによって編集された論文集、Historiker streiten: Gewalt und Holocaust - die Debatte(歴史家は論争する――暴力とホロコースト、その議論)が出版されました。出版社のウェブサイトはこ…

ミレーネ・イェセンスカについて――アーロルゼン・アーカイブズより

少し前の記事ですが、2021年10月8日、ナチズムによって迫害された犠牲者・生存者に関する史資料を収集・保管する活動に取り組むアーロルゼン・アーカイブズのホームページに、「ミレーネ・イェセンスカ――ジャーナリスト、フェミニスト、レジスタンス闘士」と…

『ベルリン情勢(Berliner Zustände)』 の発行停止と今後について――ベルリンの極右勢力の監視・記録活動団体 apabiz より

ベルリンの極右勢力の情勢を監視し、情報収集と資料保存の取り組みを進める団体 apabiz のウェブサイトで、年次報告書『ベルリン情勢(Berliner Zustände)』 の発行停止が告知されました。 Einstellung der »Berliner Zustände«: Zeit für neue Wege, in: a…

植民地犯罪、ホロコースト、新しい記憶について―― taz紙ブログより

2022年9月7日、ドイツの左派系新聞 taz 紙のブログに、ジャーナリストのシャルロッテ・ヴィーデマンさんへのインタビューが掲載されました(ポッドキャスト配信)。ドイツ植民地主義とホロコーストの記憶をめぐる最近の論争について扱ったものです。 Dissens…

ニュルンベルク医師裁判から75年――BR24より

2022年8月19日、バイエルン放送のウェブサイト BR24 に「ニュルンベルク医師裁判から75年――裁かれたナチ犯罪」というタイトルの記事が掲載されました。 Tina Wenzel, 75 Jahre Nürnberger Ärzteprozess: NS-Verbrechen vor Gericht, in: BR24, 19. August 20…

1970・80年代ドイツにおける新しい女性運動とナチ加害女性との関係――デジタルドイツ女性アーカイブより

2022年8月16日、デジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトに、「誰もが知らなかったのか――新しい女性運動とそのナチ加害女性との関係」という趣旨のタイトルで、女性教育センター・デンクトロイメ(Frauen*bildungszentrum DENKtRÄUME)が、このアーカイ…

ナチズムに抵抗した女性たちについてのウェブサイト

"Antifaschistinnen aus Anstand(良識をもった反ファシズム女性たち)" という名前のプロジェクトを知りました。これは、ナチズムによる政治的・社会的な「強制的同質化(グライヒシャルトゥング)」に様々な方法で抗った女性を記憶する取り組みです。 Frau…

『第七の十字架』の刊行から80年――nd紙より

2022年7月3日、ドイツ語圏の左派系オンライン・ジャーナル nd 紙に、アンナ・ゼーガース『第七の十字架』刊行から80年を機に、比較的長い記事が掲載されました。 Felix Klopotek, Anna Seghers: Auf der Suche nach der verschütteten Hoffnung, in: nd, 30.…

ナチ犯罪を裁く法廷のアウシュヴィッツ生存者について――近刊書紹介へのリンク

近刊の研究書の紹介です。 『法廷を前にした生存者たち――ナチ裁判における証人としてのアウシュヴィッツ収容者(1950-1976年)』という本の紹介を目にしましたので、メモ代わりにリンクを貼っておきます。 Katharina Stengel: Die Überlebenden vor Gericht…

カール・フォン・オシエツキーについてのヴァーチャル展示――ドイツ連邦文書館より

カール・フォン・オシエツキーについて、ドイツ連邦文書館のウェブサイトでヴァーチャル展示「カール・フォン・オシエツキー――あるドイツの平和主義者」が公開されています。 Carl von Ossietzky: Ein deutscher Pazifist, in: Bundesarchiv ジャーナリスト…

ヒトラー総統府文書史料集の完結――ドイツ連邦文書館より

2022年7月12日、ドイツ連邦文書館のホームページに、ヒトラー政権期の総統府文書史料集の第11巻(1944/45年)が刊行され、完結したとのプレスリリースが公開されました。 Abschluss-Band der Akten der Reichskanzlei beleuchtet Regierung Hitler 1944/45,…

ホロコーストと記憶へのアフリカ的パースペクティブ――Geschichte der Gegenwartより

2022年7月31日、「ホロコーストと記憶へのアフリカ的パースペクティブ」と題した論説が、「現在の歴史(Geschichte der Gegenwart)」のウェブサイトに掲載されました。 Charlotte Wiedemann, Afri­ka­ni­sche Perspek­tiven auf Holo­caust und Erin­ne­run…

ベルリンの占領博物館計画をめぐって――taz紙より

2022年7月26日、taz紙より「ベルリン占領博物館――自己満足、視野を狭める」と題した記事が掲載されました。 Stephan Lehnstaedt, Besatzungsmuseum in Berlin: Selbstzufrieden, den Blick verengt, in: taz, 26. Juli 2022. リード文では、ドイツ歴史博物館…

ドイツ記憶文化とナチ遺産――ベルリナー・ツァイトゥング紙より

2022年7月6日、ベルリンの日刊紙、ベルリナー・ツァイトゥング紙より、「シュトシェク、クヴァント、フリック――どのようにドイツの財閥がナチ責任の容疑から逃れているか」という論説が掲載されました。 David de Jong, Stoschek, Quandt, Flick: Wie sich d…

ハイパー資本主義者としてのナチズム――Jacobin誌より

2022年7月8日、ドイツの左派系ジャーナルのジャコバン誌(Jacobin)に「ナチたちはハイパー資本主義者だった」というタイトルのインタビュー記事が掲載されました。 Nils Schniederjann, Die Nazis waren Hyperkapitalisten, in: Jacobin Magazin, 8. Juli 2…

マイケル・ロスバーグ、ホロコーストとアルジェリア独立闘争との関連性を語る――ローザ・ルクセンブルク財団より

研究メモです。 以前に、マイケル・ロスバーグさんの『多方向的記憶』について紹介しました。 「『歴史家論争2.0』――マイケル・ロスバーグの論説より」浅田進史研究室/歴史学ブログ、2021年1月20日 2022年7月4日、ローザ・ルクセンブルク財団のホームページ…

アルトゥーア・ローゼンベルクについて

2022年6月8日、ドイツの左派系オンライン・ジャーナル Jacobin 誌に、「アルトゥーア・ローゼンベルク――ドイツの忘れられたマルクス主義者」という記事が掲載されました。 Jairus Banaji, Arthur Rosenberg: Deutschlands vergessener Marxist, in: Jacobin …

ザクセン=アンハルト州でのネオナチによる暴力を記録する

2022年6月23-24日にライプツィヒ大学およびザクセン科学アカデミーで開催されたワークショップ「ザクセン・ポストコロニアル」に参加してきました。この催しについては、以前にこのブログでも紹介しました。 「ザクセン・ポストコロニアルについて」浅田進…

マルゴット・ホイマンを語る――Geschichte der Gegenwartより

2022年6月12日、ドイツ語圏の歴史学系ウェブサイト、Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)にホロコースト生存者マルゴット・ホイマン(Margot Heuman)を語る3人の歴史家による討論「マルゴット・ホイマンの素晴らしい人生――劇場、ホロコースト、クイア史…

ナチ不正に対する補償に関するポータルサイト――Archivportal-Dより

2022年6月1日、ドイツ文書館総合ポータルサイト Archivportal-D で、テーマ別ポータルサイト「ナチ不正の補償」がオンライン公開されました。 Themenportal: Wiedergutmachung nationalsozialistischen Unrechts, in: Archivportal-D. 同サイトSNSでの情報発…

ホーエンツォレルン家の旧財産返還交渉と右翼の友人たち――反ファシズム雑誌 Der rechte Rand より

以前にこのブログで、反ファシズム雑誌 Der rechte Rand とホーエンツォレルン家をめぐるドイツ語圏の議論について紹介しました。 Der rechte Rand については、こちら。 「反ファシズム雑誌 Der rechte Rand の特集号「反フェミニズム」について」浅田進史…

ヴァイマル期ドイツ社会民主党と反ユダヤ主義――ローザ・ルクセンブルク財団より

今日も研究書の書評を取り上げます。 2022年5月17日、ローザ・ルクセンブルク財団ホームページに、2020年にフランクフルト・アム・オーデルのヨーロッパ大学(Viadrina)に提出された教授資格論文を基にした学術成果が紹介されました。 Florian Weis, Christ…

ジャネット・ヴォルフについて――フリードリヒ・エーベルト財団歴史ブログより

ドイツ社会民主党系のフリードリヒ・エーベルト財団のホームページに、歴史ブログ「FEShistory - der Blog」というページがあることを知りました。 FEShistory - der Blog 2022年5月19日にそこに、「ジャネット・ヴォルフ――『聖書とベーベル』ともに正義と民…

ナチ期に迫害されたレズビアン女性のための祈念碑と委託研究――マグヌス・ヒルシュフェルト連邦財団のプロジェクト

2022年5月2日、マグヌス・ヒルシュフェルト連邦財団(Bundesstiftung Magnus Hirschfeld)のホームページに、ベルリン自由大学教授マルティン・リュッケさんによる論文「ナチズムにおけるレズビアン女性の迫害」が紹介されました。 Martin Lücke: Die Verfol…

パン・アフリカ主義活動家 Joseph Ekwe Bilé のベルリン記念銘板

ベルリン州政府は、2022年4月12日のプレスリリースで、パン・アフリカ主義活動家ヨーゼフ(ジョゼフ)・エクウェ・ビレ(Joseph Ekwe Bilé, 1892-1959)がベルリン記念銘板で顕彰すると発表しました。そして、4月21日に記念式典が開催されました。 プレスリ…

ベルリンの「躓きの石」について

ベルリンを歩いていると、本当に「躓きの石(Stolperstein)」によく出くわして、そのたびに立ち止まっています。「ベルリンの躓きの石」というウェブサイトがあり、そこで情報を入手できます。 Stolpersteine in Berlin このウェブサイトを知ったきっかけは…

東欧におけるドイツ植民地主義の遺産――Merkurより

『メルクーア(Merkur) 』という、1947年に創刊されたドイツ語圏のヨーロッパ思想を専門とする雑誌があります。2022年3月30日に同誌のウェブサイトに、「ドイツ、ウクライナ、ロシア、そして東ヨーロッパにおけるドイツ植民地主義の遺産」というタイトルの…

インゲ・ドイチュクローンさん逝去――Tagesspiegel紙より

2022年3月9日、ベルリンの日刊紙ターゲスシュピーゲルのオンライン版に、ホロコースト生存者であり、ベルリン名誉市民でもあるインゲ・ドイチュクローン(Inge Deutschkron)さんの死亡記事が掲載されました。 Holocaust-Überlebende mit 99 Jahren gestorbe…