浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ史|植民地主義

ホロコーストのアフリカ系犠牲者追憶のためのベルリン「躓き石(Stolpersteine)」設置

ドイツには道路など公共の場に、ホロコースト犠牲者を忘れず、追悼しつづけるための「躓きの石(Stolpersteine)」という取り組みがあります。 2021年8月25日、Dekoloniale というドイツ語メーリングリストで、同月29日にベルリンで2名のアフリカ系犠牲者の…

ナチ・ドイツ支配下の東部占領地域とブレーメン・ハンブルク商人たち――taz紙より

2021年8月21日、左派のドイツ語新聞、taz紙に、ナチ・ドイツ支配下の東部占領地域でブレーメンとハンブルクの商人たちがとくに利益を上げていたこと、そして多くの企業史料館では今日もなお史料公開が進んでいないことを指摘する記事が掲載されました。 Hist…

カール・リープクネヒトも生誕150周年

ドイツ植民地主義の歴史でも、ドイツ帝国議会で帝国主義批判・植民地主義批判を展開したカール・リープクネヒトは重要な人物です。 彼も2021年は生誕150周年ということを知りました。ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトで、関連する論説が掲載されてい…

1921年のリーフ共和国の独立と挫折について――nd より

2021年7月23日、ドイツ語の左派のオンライン・ジャーナル nd に1921年にモロッコ北部で独立を宣言したリーフ共和国についての論説が掲載されました。リンクはこちらです。 Reiner Tosstorff, Ein kurzer Moment der Hoffnung, in: nd, 23. Juli 2021. リード…

ローザ・ルクセンブルク財団によるドイツ右翼・ファシスト歴史政策分析――「プロイセン」と「ジェンダー秩序」をテーマに

2021年6月、「現在の昨日――今日における右翼の歴史政策」と題する小冊子が、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトにオンライン刊行されました。「討論グループ『歴史』(Gesprächskreis «Geschichte»)」の編集グループが作成したものです。 Herausgeber*…

アフリカ系ドイツ人の短編歴史ドキュメンタリー紹介記事――西部ドイツ放送より

2021年6月4日、西部ドイツ放送(Westdeutscher Rundfunk, WDR)のウェブサイトに「黒人でありドイツ人――アフリカ系ドイツ人の歴史」と題された記事が掲載されました。 Emily Thomey, "Schwarz und Deutsch" – Die Geschichte der Afrodeutschen, in: WDR, 4.…

ドイツ連邦文書館ヴァーチャル展示「1904年の対ヘレロ戦争」について

研究メモです。 ドイツ連邦文書館ウェブサイトに掲載されたヴァーチャル展示「1904年の対ヘレロ戦争」を訪問しました。リンクはこちらです。 Virtuelle Ausstellung: Der Krieg gegen die Herero 1904, in: Bundesarchiv 色々な史料が掲載されています。機会…

ドイツ植民地史に関する文書館史料案内総合サイトについて

ドイツ植民地主義についての総合的な文書館案内ウェブサイトがあります。 Willkommen - Archivführer Deutsche Kolonialgeschichte 2017年にポツダム専門大学(Fachhochschule Potsdam)が外務省と共同で始めたプロジェクトです。 史料の所在や説明について…

ドイツ連邦文書館の画像資料を検索する――ドイツ太平洋植民地を事例に

ドイツ連邦文書館のSNSで、ドイツの太平洋植民地、ドイツ語ではしばしば「南洋植民地」と表記されますが、その図像資料を多く含む、ハインリヒ・ハーゲドルン(Heinrich Hagedorn)関連資料についての情報提供がありました。 それに関連して、ドイツ連邦文書…

「ハンブルクの(ポスト・)植民地的遺産」について

ハンブルク大学のホームページ内に、「ハンブルクの(ポスト・)植民地的遺産」というタイトルのブログがあります。 Humburgs (Post-)Koloniales Erbe 最新の投稿は、ドイツ政府が現在のナミビアを植民地支配していた際のヘレロ・ナマへのジェノサイドを認め…

「アフリカからロシアへ」――ユルゲン・ツィンメラー氏のシュピーゲル誌寄稿論文について

2021年4月14日、シュピーゲル誌のウェブサイトでの特集「ドイツ植民地史」に、ユルゲン・ツィンメラー氏による寄稿論文「アフリカからロシアへ」が掲載されました。 Jürgen Zimmerer, Deutsche Kolonialgeschichte: Von Afrika nach Russland, in: Der Spieg…

フンボルト・フォーラムとベニン・ブロンズ返還問題

2021年3月22日、『南ドイツ新聞』(Süddeutsche Zeitung)オンライン版に、フンボルト・フォーラムがベルリン民族学博物館からベニン・ブロンズとして知られる銅像・レリーフの返還について、9月までに決定されるという記事が掲載されました。 Benin-Bronzen…

ベルリン自由大学の敷地から発見されたナチ犯罪・植民地主義の痕跡

2021年2月24日、オンライン版タッツ(taz)紙のウェブサイトに16,000片もの人骨をめぐるシンポジウムに関する記事が掲載されました。これらの遺骨は、ベルリンのダーレムにあるベルリン自由大学オットー・ズーア政治学研究所(Otto-Suhr-Institut für Politi…

ドイツ連邦文書館所蔵のドイツ植民地主義関連史料について

ドイツ連邦文書館は、同館に所蔵されているドイツ植民地主義の歴史に関する史料のデジタル化を進めています。これに関連して、以下のようなページにたどりつきました。 Bundesarchiv Internet - Grenzexpedition und Völkermord – Quellen zur Kolonialgesch…

脱植民地的法批判と法実践――ドイツ連邦政治教育センターより

2020年12月に、ドイツ連邦政治教育センター(Bundeszentrale für politische Bildung)より、ポストコロニアル批評の視点から第二次世界大戦後の国際法の展開を検討する論集が出版されました。その紹介、注文、冒頭30頁弱までのPDFへのリンクはこちらになり…

強制断種の対象となったアフリカ系ドイツ人の子ども――ドイチェ・ヴェレのオンライン記事

2021年1月9日、ドイツの国際放送を運営しているドイチェ・ヴェレのオンライン版で、ナチによって強制断種の手術を受けさせられたアフリカ系ドイツ人の子どもについての記事が掲載されました。 Forcibly sterilized for being Afro-German ′children of shame…

1900年頃のハンブルクの居酒屋で労働者が語ったこと――シュピーゲル紙の記事より

1980年代のいわゆるドイツ「特有の道」論争で知られるイギリスのドイツ近現代史家リチャード・J・エヴァンズは、ハンブルクで警察が居酒屋での労働者層の会話を記録した史料を編集しました。 Richard J. Evans (Hg.), Kneipengespräche im Kaiserreich: die …

バラザニ・ベルリン――植民地主義に抵抗するウェブサイトについて

ローザ・ルクセンブルク財団のSNSより、2020年12月14日に ”BARAZANI.berlin” というウェブサイトが立ち上がったという知らせが発信されました。そのリンク先はこちらです。 BARAZANI.berlin – Forum Kolonialismus und Widerstand このウェブサイトのタイト…

脱植民地的ベルリンアフリカ会議と脱植民地的都市記憶文化プロジェクトについて

2020年11月15日、「脱植民地的ベルリンアフリカ会議(Dekoloniale Berliner Afrika-Konferenz)」がベルリン・ミッテ地区のヴィルヘルムシュトラーセ(ヴィルヘルム通り)92番の「プロイェークト・ラウム(Projektraum、企画室の意)」からライブ配信されま…

「植民地史を打破する」――ブラック・ライヴズ・マター運動によせたローザ・ルクセンブルク財団の試み

ローザ・ルクセンブルク財団ブリュッセル事務局のホームページに、ブラック・ライヴズ・マター運動に寄せた植民地主義批判の特集サイトが立ち上がりました。 Unmaking Colonial History, in: Rosa-Luxemburg-Stiftung Büro Brüssel 世界各地で起きた植民地主…

Grenzenlos――植民地主義から問い直すハンブルクの歴史展示

ドイツ植民地主義にかかわる歴史展示の紹介です。 ハンブルクの労働博物館(Museum der Arbeit)で、2020年9月30日から2021年4月1日まで "Grenzenlos: Kolonialismus, Industrie und Widerstand" と題した特別展示が開催されています。副題は「植民地主義、…

ドイツ連邦文書館所蔵ヴァイマル共和国期史料のデジタル化――「黒い恥辱」関連資料

2020年9月15日、ドイツ連邦文書館所蔵のヴァイマル共和国期史料に関するブログ "Weimar - Wege zur Demokratie" に、新しいデジタル化に関する報告が掲載されました*1 Digitalisierung (11): Bestand R 1603 Rheinische Volkspflege | Weimar – Wege zur De…

「歴史家論争2.0」――マイケル・ロスバーグの論説より

「現在の歴史(Geschichte der Gegenwart)」というドイツ語のウェブサイトがあります。 Geschichte der Gegenwart このサイトに、2020年9月23日、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のホロコースト史研究者、マイケル・ロスバーグ(Michael Rothberg)氏の論…

「大学と植民地主義――ゲッティンゲン大学の事例」ウェブサイト

ゲッティンゲン大学にはドイツ植民地史を専門とするレベッカ・ハーバーマス(Rebekka Harbermas)氏がいます。その2019年のゼミナールの一環で、「大学と植民地主義――ゲッティンゲン大学の事例」というウェブサイトが作成されています。 Universität und Kol…

ドイツにおける植民地記念碑をめぐる論争――ハンブルクのビスマルク像ほか

2020年はブラック・ライヴズ・マター運動の追い風を受けて、植民地支配の過去を顕彰するような記念碑をめぐって世界各地で大きな議論が起きた年として記録されることでしょう。 2020年6月、イギリスのブリストルではエドワード・コルストン像が引き倒され*1 …

ドイツ技術博物館における大西洋奴隷貿易の展示替え――「犠牲者の語り」からの脱却

2020年8月21日のベルリン日刊紙『デア・ターゲスシュピーゲル(Der Tagesspiegel)』のウェブサイトに、ドイツ技術博物館にある「海運(Shifffahrt)」部門の展示内容についての記事が掲載されました。 Andreas Conrad, Weg mit dem Menschenkäfig: Im Techn…

東ドイツ出身の歴史家、東西ドイツ統一後の学界での差別を語る

2020年8月12日、ベルリンの日刊紙『ベルリナー・ツァイトゥング』(Berliner Zeitung)に、東ドイツ出身の歴史家ウルリヒ・ファン・デア・ハイデン(Ulrich van der Heyden)氏の寄稿が掲載されました。 Ulrich van der Heyden, DDR-Wissenschaftler : „Nie …

ドイツ植民地戦争の過去と補償問題――ナミビア政府の修正要求

ローザ・ルクセンブルク財団からの情報で、ドイツ植民地戦争とその責任追及に関連するニュースを知りました。今年8月上旬のことです。 "Namibia Rejects German Genocide Reparations Offer," Eyewitness News, August 2020 1904年から1908年にかけて、現在…

ポストコロニアル・ベルリン――「歴史を消し去りたいのではない」

ブラック・ライヴズ・マター運動は、ドイツでの植民地支配の歴史との向き合い方をめぐる議論に火をつけた感があります。 2020年8月7日、Norddeutscher Rundfunk (北ドイツ放送)のラジオ&テレビ局のウェブサイトで、Berlin Postkolonial という団体のスポ…

ドイツ植民地主義関連記念碑の地図化プロジェクト――taz紙よりSimone Dede Ayivi氏インタビュー記事

今年はブラック・ライヴズ・マター運動が世界的に広がりました。それは同時にかつての植民地支配国に残存する植民地主義的痕跡を再検討する契機にもなっています。 ドイツ植民地主義に関しては、関連する記念碑をインターネット上で地図化するプロジェクト "…